マイナンバー制度はコンビニのオーナーも含めて、全ての事業者に例外なく適用される
こんにちは、元コンビニ店長の行政書士です。
マイナンバー制度の適用範囲
平成28年からマイナンバー制度がはじまります。
マイナンバー制度は全ての事業者に適用され、今までなら個人情報保護法の対象外であったお店や会社にも個人番号の保護措置に関する義務が発生します。
個人番号の管理するためには、事前の準備が大切になってきます。
しかしながら、マイナンバー制度についてよく知らない方が多いためか、適切な準備が進んでいない所が多いみたいです。
日本情報経済社会推進協会が行った、企業IT利活用動向調査2015という名称の調査によると、対応を完了した企業は全体の18%とあまり対応が進んでいません。
ちなみに対応を検討しているところが約36%で、何をして良いのか分からない企業も17%ほど有ります。
またこの調査は従業員50名以上の企業の情報担当者を対象としたアンケートです。
それよりも規模の小さいところでは、実態はもっと厳しい数字になるのではないでしょうか。
もしかしたらマイナンバー制度のことを知らない方も意外と多いのではないかと思います。
マイナンバー制度の説明
マイナンバー制度は、日本国内に住民票を持つ全ての人に「個人番号」付けるものです。
目的は、社会保障や税などの行政手続きを簡単にすることと、公正な税金の負担や社会保障の公正な受給を目指しています。
マイナンバー制度の導入後は、国や自治体の手続きで個人番号を提示することで本人確認が出来るようになります。
これによって、今までの本人確認の照会など時間が掛かっていた事務を減らすことが出来ます。
また個人番号を含んだ個人情報を特定個人情報と呼びます。
この情報の取り扱いは、個人情報保護法とは別のものになり、普通の個人情報よりも厳重な保護措置を要求されます。
あとマイナンバー制度の根拠となる法律は、平成25年度の通常国会で成立した「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号等の利用に関する法律」(通称番号法)です。
個人番号はどうやって知ることが出来るのか
平成27年の10月以降に12桁の個人番号の書かれた紙製のカードが送付されてきます。
おそらく郵便局の書留郵便になるのではないでしょうか。
間違っても普通の郵便やゆうメールで送ってくることは無いと思います。
また以前の記事にも書きましたが、住民票のある外国人にもカードが送られてきます。
これは中長期滞在の外国人も住民票があり、日本の税金や社会保障費の負担義務があるためです。
平成28年の1月以降に市町村役場で、紙製のカードとプラスチック製?のカード(個人番号カード)と交換できます。
個人情報カードには、ICチップ、顔写真、個人番号、氏名、住所、生年月日、性別が記載されます。
このカードで免許証やパスポートと同じように身分証明書として使う事が出来ます。
これからは個人情報カードを持っていれば、身分証明書代わりに運転免許証を持たなくてもよくなるかも。
マイナンバーカードは便利だけど、交付手続きが面倒なので私は使っていません。
個人番号は一生同じ物を使う
個人番号は、紛失や盗難されて不正使用される可能性がある場合を除いて、一生変更されません。
ですのでマイナンバー(個人番号)の管理は、事業者だけでなく、一般の人にも重要になってきます。
マイナンバーが与える事業者への影響
マイナンバー制度が始まると、特定個人情報(個人番号を含んだ個人情報)の管理義務が発生します。
マイナンバー制度が始まると、全ての事業者が、番号法に従って、従業員の社会保障や納税の手続きに特定個人情報を記載した物を届け出る必要が出てきます。
個人情報保護法では、5000件を超える個人情報を抱える事業者のみが対象でしたが、今回の番号法は、全部の事業者が対象となるなど規制が強化されています。
個人番号の取得できる理由や、利用できる場所、そして取得した特定個人情報を保護するために、必要な安全管理措置を取る必要が出てきます。
さらに特定個人情報を取り扱う従業員(事務スタッフ)にも適切な監督が必要になってきます。
正直申し上げてかなり面倒な管理体制や煩雑な手続きが増えてくるようになります。
個人番号は納税や社会保険の手続きだけ利用できる
番号法で決められた範囲を超えて、特定個人情報を取得したり利用したり、保管したりすることは禁止されています。
具体的には社会保障や納税の手続きに関する書類を作成するために個人番号が必要になる場合だけ、従業員や扶養家族から個人番号の提供を請求することが出来ます。
マイナンバーの使用範囲も上記の手続きだけしか使えません。
入手した特定個人情報を使わなくなった時は
社会保険や納税の手続きの書類作成する必要がなくなったときは、法定保存期間経過後、出来るだけ速やかに個人番号を廃棄・削除する必要あが有ります。アルバイトさんが仕事を辞めてもすぐには、彼・彼女の特定個人情報を捨てることは出来ません。
例えば扶養控除の申請書の保存期間が7年間となっていますので、退職後も7年間も保管しなければいけない事になります。
またアルバイトさんのマイナンバーを破棄する場合も、情報漏洩しないような処分方法を考えることも必要です。
漏洩した場合には罰則あり
番号法には、特定個人情報を漏洩した場合、違反行為を行った者(実際に漏洩させた人)だけでなく、事業者にも罰則の適用が有ります。
また受託先の事業者が漏洩した場合も委託者の責任になります。
例えば社会保険の手続きや納税の手続きを税理士や社労士に依頼した場合、彼らが漏洩させた場合でも、コンビニであればオーナーさんが、監督責任を問われることになります。
これから社会保険や税金の手続きをお願いする場合は、その士業の事務所の情報管理体制について、かなり詳しく理解してから出ないと漏洩のリスクが発生します。
また行政書士でも許認可などで、添付資料に社会保険に関する資料を預かる場合にも同じリスクがあります。
おそらく彼らも対応はしていると思われますが、しかしながら情報管理のレベルはバラつきがありますので注意が必要です。
士業の立場からすると、他の業者よりも厳重なセキュリティ体制を構築していることが強力な差別化になるのだと思います。
マイナンバー制度の相談窓口など
マイナンバー制度が始まると、お店の従業員(社員・アルバイト)や扶養家族の個人番号を取り扱う必要あり、特にアルバイトが頻繁に入れ替わる業種(コンビニ・飲食業)などでは、辞めてしまったバイトの個人番号を保管し続けなければいけなくなるので、事務負担が物凄く大きくなります。
適切な管理をするためには、事前にマイナンバー制度について知っておくことが大切です。